出店ラッシュに沸くパン屋のフランチャイズ開業の実態とは?メリットデメリット、注意事項を解説。

国内におけるパン消費額がコメの消費額を超え、パンは今や国民食となりつつあります。高級食パンがブームになるなど、パン屋への注目度はますます高まっています。一方で競争が激しく、淘汰されるショップが多い一面も。失敗しないパン屋フランチャイズに開業について解説していきます。

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パン屋のフランチャイズ開業に追い風!市場拡大が続く見通し。

日本国内のパン市場が拡大を続けています。2013年度には1兆4042億円の市場規模が、2019年度には1兆5786億円と毎年上昇を続けていました。

コロナの影響により2020年は減少したものの、回復後の2024年度には1兆6225億円まで拡大が見込まれる成長業界となっています。

日本のパンの消費量がコメの消費量を上回る

2011年の総務省「家計調査」で、一般家庭におけるパン消費額がコメ消費額を初めて上回りました。パン消費拡大の背景には、パン業界が品質向上に努めてきたことがあります。

パンの味は以前より格段においしくなりました。高品質の原材料を使い、調理技術も向上しました。欧米の方が食してもおいしいと評価するほど、日本のパンは品質を向上させているのです。

また消費者ニーズに応える多様なラインナップも、パン人気の理由です。総菜パン、菓子パン、サンドウィッチなどベーカリーや販売店では様々な種類のパンが販売され、消費者の嗜好や生活スタイルにマッチした商品が提供されています。

この品質とラインナップの向上が消費者から支持され、今ではコメを上回る国民食としてのポジションを担う存在になっています。

共働き夫婦の増加でおかずがいらない手軽に食べられるパン食が定番に

共働き夫婦の増加は、日本の食卓に変化をもたらしました。特に朝は外出や子供の準備で慌ただしくなり、朝食の調理に欠けられる時間が減少しています。この傾向は共働き世帯に顕著で、朝食メニューに対して「簡単に食べられる」「メニューを固定する」というニーズが高まっています。

パン食はこれらの消費者ニーズにとてもマッチした商品として、今や朝食の定番となっています。おかずがなくても食べられ、同じようなおかずでもパンの種類を変えることでマンネリを防げるなどの利点が支持されています。

コロナ禍においてもテイクアウト市場では需要拡大

コロナ禍によって成長を続けてきたパン市場も縮小を余儀なくされました。一方で、コロナによって飲食業界ではテイクアウト市場が急拡大する動きを見せています。

テイクアウト市場において、パンは「食べやすさ」「持ち運びやすさ」「保存性」などからテイクアウト商品の大きなウェイトを占めています。コロナ後もテイクアウト市場は成長が期待されていて、パンに対する需要はますます高まっていくと予測されています。

高級パンブームでパンの単価もアップしている

パン市場では高級パンブームが続いていて、パン単価のアップを後押ししています。

高級パンブームのきっかけは、2013年頃に始まった「高級食パンブーム」だと言われています。当時、食パン1斤100円前後の中、セブンイレブンから1斤250円の食パンが販売され、大人気となりました。

その後、大阪の「乃が美(のがみ)」や銀座「セントル ザ・ベーカリー」などの高級食パン専門店がオープンし、ブームが本格化しました。価格は2斤で1000円前後と高めなものの、ちょっとした高級感を求める消費者ニーズにマッチし、高級食パン専門店の出店が相次いでいます。

この高級食パンブームは他のパンにも広がりを見せ、「高級クロワッサン」や「高級バゲット」など現在の高級パンブームへと続いています。

パン屋のフランチャイズ店開業までの流れ

パン屋開業を思い立ったものの、パン屋での勤務経験が無かったり、経営に関するノウハウが不足しているのであれば、フランチャイズ店を開業するのが現実的な選択です。

ここではパン屋をフランチャイズ店で開業するまでの流れを解説していきます。

パン屋の業態を選択

まずはパン屋の業態を選びましょう。パン屋といってもその業態には様々な種類があります。

省スペースで地域密着型のパン屋を目指すのであれば「テイクアウトのみ」、多少広めのスペースで滞在型のパン屋ならば「イートイン」、機動性を活かして幅広い地域で販売するならキッチンカーによる「移動販売」など、対象とする顧客や地域を考慮して選ぶことが重要です。

自分がオーナーとしてどのようなパン屋を経営していきたいかを考え、お店のコンセプトをしっかりと作り上げていきましょう。

自分に合ったパン屋のフランチャイズブランドを選択

お店のコンセプトが作成できたら、フランチャイズ各社のモデルケースを比較・検討してください。

各社に「低予算で開業」や「知名度が高い」などの特徴があり、選択する会社で事業計画は変わってきます。どのようなパン屋を展開するかを考えて、フランチャイズ先を決めて下さい。

フランチャイズ本部の指示に従い、物件取得や設備導入などの開店準備を行う

フランチャイズ先を決めたら、担当者とともに開店準備を進めます。

まずはフランチャイズのビジネス方針を理解して、パン屋の運営方針や資金面について話し合います。もし考え方に食い違いがある場合は、子の後両社にとってダメージとならないよう、この段階ですり合わせてください。

運営方針に一致できたら、営業エリアおよび物件候補の選定に入ります。多くのフランチャイズには独自の市場調査ノウハウがあるので、調査データを参考にしながら担当者と相談しながら出店場所を決めていきます。

出店場所は一度決めてしまうと、後からの変更は多額の費用を伴います。また出店場所は売上に多大な影響を及ぼします。可能な限り調査データを集めて、自分が納得できる出店場所を選んでください。

出店場所が決まれば、具体的な事業計画を作成しフランチャイズ先での最終審査に入ります。この最終審査にパスすれば、フランチャイズとして正式に加盟となります。

加盟手続きが完了すれば、物件を取得して内外装工事、厨房設備導入など店舗の準備に入ります。その間にパンの調理や販売、店舗運営についての研修を受けながら、必要な許認可申請も進めます。

おおよそ、フランチャイズ加盟後、1~3カ月程度で開店となります。

同時にパン屋の開業に必要な資格を取得する必要がある

パン屋を開業するには、「菓子製造業許可」および「飲食店営業許可」が必要になります。

「菓子製造業許可」はパンを製造販売する際に、食品の安全性を守るためのもので、保健所が審査して都道府県知事が発行します。許可を得るためにはお店ごとに食品衛生責任者が必要です。

食品衛生責任者は、各都道府県の食品衛生協会主催の講義を約6時間受講すれば取得できます。受講費用は約1万円です。

「飲食店営業許可」は飲食店を営業する際に必要で、申請の流れは「菓子製造許可」と近いものになります。

パン屋の営業形態によって必要な許可は、以下の通りです。

・テイクアウト販売のみ

 「菓子製造業許可」

・テイクアウト+イートイン

 「菓子製造業許可」+「飲食店営業許可」

なお、2021年6月1日施行の食品衛生法改正により、「調理パンの製造」と「パンと一緒にドリンクの提供」が「菓子製造業許可」のみでできるようになりました。詳しくは自治体のHPなどを参考にしてください。

座席数によっては「防火管理者」も必要

飲食スペースの座席数が30人以上の場合は、「防火管理者」の設置が必要です。

「防火管理者」とは火災等からの被害を防止するため、消防計画の作成や防火管理の責任者です。市町村の消防署や日本防火・防災協会にて1~2日受講すれば、防火管理者資格を取得できます。

パン屋をフランチャイズで開業する際に必要な資金

パン屋はフランチャイズによって商品構成が変わり、必要な厨房機器も違ってきます。提供する商品によっては高額の厨房機器を導入する必要があり、各社によって開業資金は大きく異なります。加盟を決める前に担当者としっかり打ち合わせして下さい。

パン屋フランチャイズの開業資金の相場は2,500万円

店舗販売型のパン屋フランチャイズの場合、開業資金の相場は2000~3000万円になります。これには物件取得費が含まれていませんので、実際にはここから400~600万円ほど加わります。

これらのフランチャイズは、「知名度が高い」「豊富なラインナップ」「高品質な商品」がセールスポイントとなっているため、内外装費や厨房設備が高額となっています。

移動販売型のパン屋フランチャイズは、開業資金の相場が500~700万円になります。このうち、300~500万円はキッチンカーの取得と改装費用です。なかにはキッチンカーをリースしてくれるフランチャイズもあり、開業資金を大きく抑えられる場合もあります。

本部に支払うロイヤリティの相場は1~3%

ロイヤリティは大きく分けて変動制と定額制の2種類があります。変動制の相場は売上の1~3%、定額制の相場は1~10万円となっています。

フランチャイズごとにロイヤリティの設定方法が大きく異なります。開業店舗の大きさや立地によっても変動しますし、提案内容によってはフランチャイズと金額交渉も可能な場合が多くなっています。

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