バーの開業・経営を目指す方必読。開業資金や必要な資格、失敗事例を紹介。

バー経営は原価率が低く、客単価が高いというメリットがありますが、滞在時間が長くピークタイムも短いというデメリットもあります。こうしたメリットとデメリットをうまく抑えながら、バーを開業していくために必要な知識や失敗事例を紹介します。

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バーの月間収支は25万円、平均年収は300万円が目安

バーを経営した際にどれぐらいの年収を獲得することができるのでしょうか。ここではそのシミュレーションを紹介します。

バー経営の月間収支は26万円

バーでの平均的な客単価はカジュアルなバーで3000円程度と言われています。

仮に10席程度のバーで2回転したとすると、1日に約20人のお客さんが来ることになり、営業日数が月に20日だとすると、一か月の売上は3000円×24人×20日=120万円となります。

原材料費はおおよそ売上の20%程度なので約24万円となり、上記で説明したランニングコストの70万円を足すとおおよそ94万円が月間のコストとなります。

そのため、120万円から94万円を引いた26万円が最終的なオーナーの取り分となります。

バーのオーナーの年間利益/平均年収は300万円

月間収支で26万円がオーナーの取り分となったため、それに12か月分をかけた312万円程度が平均的なバー経営での年収となります。

バーの開業資金をおさえるための3つの方法

バーの開業資金は300万円以上と大きな資金が必要となります。そこで、その開業資金を少しでも抑えるための方法を紹介します。

スケルトン物件や居抜き物件を利用する

スケルトン物件とは店舗内の床や壁、天井など何もないコンクリート打ち放しの状態を指します。スケルトン物件の場合、設備を全て用意する必要があり、工事費用が高くなる傾向があります。

それに対して、居抜き物件は前に営業していた店舗の設備が残っている状態の物件を指します。居抜き物件の場合、設備を転用できる分、工事費用を抑えやすいと一般的に考えられています。

しかしながら、実際には工事内容によっては居抜き物件で内装を変更する場合、既存の設備や壁などを取り壊す手間も生じてくる場合があります。そのため、工事内容によってはスケルトン物件で一から工事をした方が工事費用を抑えられる場合もあります。

そのため、自分の求める理想の内装を実現するためにスケルトン物件で一から作り上げた方がよいのか、居抜き物件で簡単な修正で抑えるべきなのかはしっかりと考えて、物件を探した方がよいでしょう。

高額な機器についてはリース契約を検討する

冷蔵庫などの高額な機器についてはリース契約を行うことで開業資金を抑えることができます。例えば、業務用冷蔵庫は30万円程度するため、リース契約にすることでその分の初期費用を浮かすことができます。

ただし、初期費用として掛からない分、ランニングコストとしてリース料がかかってくるようになるため、注意が必要です。

バーの開業・経営で使える補助金や助成金を申請する

バーの開業や経営では創業補助金や、持続化補助金、IT導入補助金などが主に活用できる助成金となります。

創業補助金は創業時に必要なコストの一部を国や地方公共団体が補助してくれる制度のことを指します。各年度によって名称が異なっていますが、事業計画書や面接を通過すれば50万円以上の補助金を得ることができます。

持続化補助金には一般型と低感染リスク型ビジネス枠の2種類あります。一般型では50万円を上限として店舗改装やチラシ作成など販路開拓のために利用でき、低感染リスク型ビジネス枠ではポストコロナ社会を見据えて100万円を上限として消毒液購入費や換気設備導入、デリバリーサービスの導入、ECサイトの構築といった目的で利用することができます。

IT導入補助金はその名前の通りITツールの導入を支援するための補助金で、30万円から450万円の支援を受けることができます。

また、他にも各地域独自の補助金・助成金が存在する場合がありますので、出店する地域で補助金・助成金を調べてみることをお勧めします。

バーの開業・経営に必要な資格や届出

バーの開業・経営を行うにはとるべき資格や届出がいくつかあります。ここではバーの開業・経営に必要な資格や届出を紹介します。

食品衛生責任者の資格

食品衛生法ではバーを含む調理業を行う店舗では食品衛生責任者を設置する必要があります。

この食品衛生責任者は食品への微生物の混入や食中毒を引き起こすことを防止したり、問題が発生した際に分析をする役割を担っています。

食品衛生責任者の資格は、各地域で開かれている6時間の講習を受けるだけで獲得することができます。

防火責任者の資格

ある程度の大きな規模の店舗を構える場合に必要となるのが防火責任者の資格です。

従業員を含めて30人以上収容が可能となっている店舗では防火責任者を設置し、各地域の消防署長に届け出る必要があります。また、防火責任者の資格には甲種と乙種の2種類があり、施設の延べ面積が300㎡以上の場合には甲種の資格が必要となります。

この防火責任者の甲種と乙種の資格を得るためには、各地域の消防局で行われている講習を受講する必要があります。講習は甲種の場合は2日間、乙種の場合は1日となっています。

甲種の資格を取ればどの施設でも防火責任者になることができますが、取得に労力がかかる上に5年に1度講習を再度受講する必要があります。

そのため、防火責任者の甲種と乙種のどちらの資格を取得するかは開業する店舗の規模に応じて決めることをお勧めします。

飲食店営業許可申請の届出

食品衛生法に基づいて、飲食店では営業許可の申請手続きが必要となります。申請から許可まで2週間程度かかるとされているため、各自治体に事前に相談をした上で、営業開始の2週間程度前には必要な書類を提出することをお勧めします。

深夜酒類提供飲食店営業開始届出書の提出

日付が変わっても酒類を提供するお店を開業する場合、深夜酒類提供飲食店営業開始届出書の提出が必要となります。

この届出書の提出なく深夜0時以降に酒類の提供を行っていた場合、50万円以下の罰金が科せられます。そのため、0時以降にもバーの営業を行う場合には、必ず開業前に手続きを済ませておかなければなりません。

届出書のフォーマット自体は警視庁のHPからダウンロードすることができます。ただし、営業所の平面図や営業所求積図など複雑な書類を仕上げる必要があるため、行政書士などに依頼することをお勧めします。

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バーの開業に必要な設備や内装、備品

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